シリーズ研究会
【第9回:2012年1月】「言語と文化の多元的アプローチとその参照枠(CARAP)― 欧州評議会の提案するツール」M.カンドリエ氏
第9回言語文化教育研究会を,以下の要領で開催します。
プログラム
- 講演「言語と文化の多元的アプローチとその参照枠(CARAP)― 欧州評議会の提案するツール」※
ミッシェル・カンドリエ氏(仏・メンヌ大学名誉教授・京都大学客員教授)
※日本語通訳あり
講演概要 (山本冴里 ― 当日通訳担当)
ヨーロッパ言語共通参照枠が紹介されて以来,日本の言語教育界でも,複言語主義という用語が引用されるようになってきた。理念としては難解なものではないし,欧州評議会の文書でも,クリアーに説明されている(たとえば,2007年のDe la diversite linguistique a l'education plurilingue : Guide pour L'elaboration des politiques linguistiques educatives en Europe. Version Integrale, p. 18)。
しかし,ここに「教育」がついて複言語教育,複言語主義教育となれば,私には,具体的なその「教育」のイメージを結ぶのは,とても難しい。
それは私が ― そしておそらくは私たちが,特定1言語の教育に,特定1言語の教師であるということに,慣れきっているからだと思う。たとえば日本語教育に,英語教師に,韓国語教室に。複という名の言語は無いから,複言語教育がイメージできない。複言語主義教育となればなおさらだ。
言語文化教育研究会(1月20日)で講演が予定されている,Michel Candelier(ミッシェル・カンドリエ)氏は,フランスのメーヌ大学教授であり,またグラーツにあるヨーロッパ現代語センターの「複言語主義に基づく,相互文化的な教育」プログラム責任者でもある。
実は,先日,カンドリエ氏と打ち合わせした時の話があまりに面白くて,当初は1時間の予定だった講演を,2時間にのばしていただいた(30分の質疑時間も含まれる)。当日は,ヨーロッパの複言語主義を標榜する言語教育研究者達が,どのような姿勢と施策と試行錯誤のもとに「教育」の具体的なイメージを練り上げつつあるのか,これからどこへ向かおうとしているのか,そうしたことが話題になるはずだ。
複言語教育・複言語主義教育に惹かれる方にとっても,理念とその具現の形との関わりに興味のある方にとっても,知的好奇心を刺激し,ゆさぶる時間になると思う。たくさんの方のご来場を願う。
【第8回:2011年11月】映画『語りかける からだとことば 自分の声と出会う』の上映と高田豪さんのお話
映画は,演出家・竹内敏晴氏が2000年に賢治の学校の先生方や保護者の方を対象に行った,宮澤賢治『鹿踊りのはじまり』のレッスンを,「賢治の学校」主宰・鳥山敏子さんが中心となってまとめたもの。この学校は,ドイツの思想家ルドルフ・シュタイナーによるシュタイナー教育を取り入れた,独自の教育を行っている。今回の上映会では,東京賢治の学校自由ヴァルドルフシューレで演劇専科講師を務める高田豪さんに「竹内レッスンのからだとことば」というテーマでお話をうかがう。
事前登録なし,参加無料,来聴歓迎。
【第7回:2011年7月】体系・能力・アイデンティティ ― 総合活動型日本語教育の成立と変容
話題提供者: 細川英雄(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
私が総合活動型日本語を実際のカリキュラム上で立ち上げたのは1998年のことである。日本語教育そのものに本格的にかかわるようになったのは,1986年からのことなので,それまでにおよそ12年経過している。この間,私に起こったことは何か。また,98年の立ち上げから,現在まで13年がたち,活動そのものの考え方もかなり変化してきている。
ここでは,活動型の成立に至る12年間を振り返り,そのうえで,98年以後,現在に至るまでの13年間の私自身の変容について考えてみたい。ここで見えてきたことは,体系の学習/教育という意識から,能力育成という立場が生まれたこと,さらに,この能力という見方から,アイデンティティという観点が発見されたことだ。
ここに至るまでに,どのような思想的変遷があったのか。また,最終的に,ことばの学習/教育はアイデンティティの捉え方とどのようにかかわるのか。東日本大震災の年,自分の25年の活動実践を改めて振り返る。 細川英雄
当日のスライド
会場からいただいたご意見・ご質問
近日掲載
【2010年度】言語教育とアイデンティティ形成 ― 日本語・国語・外国語の連携と再編
このシリーズ研究会「言語教育とアイデンティティ形成 ― 日本語・国語・外国語の連携と再編」は,科学研究補助金による共同研究「アイデンティティ形成にかかわる言語教育とその教師養成・研修プログラムのための実践的研究」(基盤研究c,課題番号:22520540,研究代表者:細川英雄)の研究プロセス公開を目的とし,2010年度「言語文化教育研究会」として開催される公開研究会です。なお,なお,この研究会は,前年度までの「ことばと文化の教育を考える会」を合併吸収して行われます。
詳しくは,「言語教育とアイデンティティ形成 ― 日本語・国語・外国語の連携と再編」のサイトをご覧下さい。